2024/01/09
柔道整復師と鍼灸師、ダブルライセンスのメリットとは?
将来、けがの手当や体調不良時の身体的ケアをする仕事をしたいなら、医療系の国家資格を取得しておくと有利です。医療系資格にもさまざまありますが、いずれは開業したいと考えているなら、柔道整復師や鍼灸師などの資格があります。しかし、どちらの資格がよいのか、迷うこともあるでしょう。活躍の場を広げるなら、両方の資格を取得するダブルライセンスがおすすめです。今回は、柔道整復師と鍼灸師の両方の資格を持つことのメリットや、資格取得を目指す際の選択肢をお伝えします。
柔道整復師と鍼灸師の違いとは?
柔道整復師と鍼灸師は、どちらも人の身体をケアするための国家資格です。それぞれの特徴を見てみましょう。
- 柔道整復師
骨折や捻挫、脱臼などの急性疾患の治療を行える資格です。応急手当であれば、医師の承諾を待たず、自身の判断で行えます。 - 鍼灸師
手技だけでは取り除けない筋肉の奥にある慢性的な痛みを、はり(鍼)もしくはきゅう(灸)を使って治療できる資格です。内科的疾患の改善も可能なため、体調悪化を防ぐための施術も行えます。鍼灸師は、はり師ときゅう師のふたつの資格を持つ人を指し、どちらか片方のみの資格取得も可能です。
簡単にまとめると、柔道整復師はけがをした人への応急手当ができる資格、鍼灸師は体調不良時のケアやけがの予防に役立つ資格といえます。それぞれにできることが違うため、片方の資格だけでは物足りなさを感じてしまうかもしれません。一方、両方の資格を持ったダブルライセンスなら、幅広く対応できるスペシャリストとして活躍が可能です。
柔道整復師、鍼灸師について詳しくは以下もご覧ください。
―【徹底解説】柔道整復師とは?仕事内容、必要な資格、年収や適性について
―鍼灸師とは?具体的な施術内容や年収、なるために必要な資格まで徹底解説
柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスを取得するメリット
柔道整復師と鍼灸師、どちらかひとつの資格を取得しただけでも十分に仕事として成り立ちます。実際にはどちらか一方の資格だけで独立開業している人も多くみられます。そのなかで、ダブルライセンスを取得することには、どのようなメリットがあるのでしょう。
- 活躍の場が広がる
鍼灸師が患者に対して行えるのは、コンディショニング維持、疲労回復、体調悪化防止のための施術が主です。しかし、柔道整復師の資格もあれば、上述した施術に加え、けがをした際の応急手当も行えます。できることが増えるため、その分活躍の場が広がります。 - 医療従事者としての総合力が高まる
柔道整復師の資格を取得するには、「解剖学」「生理学」「運動学」「衛生学」「病理学」「公衆衛生学」「外科学」「関係法規」「リハビリテーション学」「整形外科学」などを学び、「柔道整復学」「柔道整復理論」「柔道整復実技」などの実践的な知識と技術を身につける必要があります。鍼灸師は、「解剖学」「生理学」「東洋医学概論」などのほか、「鍼理論」「灸理論」「経絡経穴」などを学びます。一部の分野は重複しているものの、それぞれの専門知識を得れば、治療家としての総合力が高まり、一般の患者だけではなく、スポーツ選手のケアにも大きく貢献できるでしょう。 - 多くの患者に求められる人になれる
幅広い知識を生かして質の高いサポートが提供できるため、多くの患者から求められるでしょう。もちろん、ダブルライセンス取得後も知識や技術の向上を目指す努力は必要です。学びの姿勢を忘れず、真摯に治療に取り組めば、患者が多く訪れる治療院を開業できるのではないでしょうか。常に患者が絶えない状況になれば、忙しいものの、安定した収入が見込めます。
柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスを取得するための方法
柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスにはさまざまなメリットがありますが、資格を得るまでが大変です。ダブルライセンスを取得するには、どのように学習を進めていけばよいのでしょうか。ここでは、資格取得の流れをいくつか紹介しましょう。
- 柔道整復師と鍼灸師の学科を同時に学習する
柔道整復師、鍼灸師になるためには、どちらも高校卒業もしくは同程度の学力が認められたうえ、それぞれ国が認めた養成施設(大学、短大、専門学校など)で最低3年間、専門知識を学ぶ必要があります。養成施設によっては、両方の受験要件を満たせるような受講が可能です。例えば、両方の資格取得に向けて学べる専門学校で、午前と午後に分けてそれぞれの分野の学習ができるカリキュラムを受講するのもよいでしょう。
専門学校の場合、両方の学科に同時入学すると、学費の減免措置制度を取り入れているところもあります。最短かつ出費を抑えてダブルライセンスを取得したいなら、両方の学科がある学校に同時入学するのがおすすめです。 - 1~2年時期をずらして学習を始める
最短で、3年間学習をすれば柔道整復師、鍼灸師の同時受験が可能です。しかし、受験時期が重なるため、同時に両方の試験勉強をすることになります。ハードな受験になるため、どちらかに集中したほうが取り組みやすいかもしれません。
まずは先に取る資格を決めて養成施設に入学し、1~2年間で基礎を習得したうえで、もうひとつの資格の学科にあらためて入学する方法もあります。いきなり同時に両方の学習を始めるよりも、少し余裕を持って学習を進めていけるでしょう。
1年間ずらして入学すれば、最短4年間でダブルライセンスの受験資格が得られます。ダブルライセンスの取得を希望しているけれど、同時に進めることが不安な場合におすすめです。
実際に柔道整復学科に入学し、1年後に鍼灸学科に入学した卒業生のインタビューは以下をご覧ください。
―好きなことを仕事に!と治療家を目指す|日本健康医療専門学校
- どちらかの資格を取得した後、もうひとつの学習を始める
柔道整復師もしくは鍼灸師のどちらか一方の資格をはじめに取得してから、もうひとつの資格取得を目指す方法もあります。それぞれ各3年間の勉強が必要なため、最短でも6年かかってしまいますが、じっくりと勉強できるのが利点です。「時間はかかってもしっかりと学習して知識や技術を吸収したい」「どちらかの資格を取得して就職したが、活躍の場を広げるためにもうひとつの資格も取得したい」場合に検討してみましょう。
柔道整復師の資格取得後に就職し、その後あらためて鍼灸学科に入学した卒業生のインタビューは以下をご覧ください。
―「人を笑顔にしたい」手技と鍼灸の両方ができるトレーナーを夢みて【卒業生インタビューvol.1】
より幅広く活躍したいならダブルライセンス取得がおすすめ
柔道整復師や鍼灸師は、それぞれの特徴を生かした働き方が可能です。両方の資格を持つダブルライセンスを目指せば、治療の幅が広がり、患者に寄り添える治療家として活躍できるでしょう。けがの応急手当や予防、体調不調時のサポートなど、バランスよくケアにかかわれるのは大きな強みになります。
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